2018年5月30日水曜日

小満(二十四節気)麦秋至(七十二候)5月31日~6月5日 ”麦秋”に”さなぶり” ”オカトラノオ”咲き”ヤマユリ”情報 「むら」の”ピーターラビット”

 二十四節気「小満」の七十二候末候は、「麦秋至(むぎのときいたる)」です。”麦秋”とは、麦の穂が実り収穫の時期、麦にとっては収穫の秋(とき)ということです。季節の”秋”ではありません。ですから、”梅雨”の前の麦が熟し刈り取りのこの季節が”麦秋の候”となるわけです。写真は、「上総の農家」の”大麦”です。
 「上総の農家」でも、”麦”の刈り取りです。写真上は”大麦”の刈り取り直前(写真:上左)と、刈り取りのようす(写真:上右)です。下は、刈り取り前の”小麦”ですが、鳥たちに食べられないようにネットが掛けてありました(写真:下)。”パン”や”麺”などの原料になるのが”小麦”です。一方”麦飯”や”味噌”、そして”ビール”の原料になるのが”大麦”ですね。これは、”小麦”には”グルテン”という”タンパク質”が豊富に含まれているために、”小麦粉”に水を加えてこねると粘りが出てきて、”パン”はふっくらし、”麺”は細長くできるからだそうです。
 「商家の町並み」「菓子の店」の「黄味しぐれ」です。前回(大寒(二十四節気)水沢腹堅(七十二候))紹介した時は、「黄味しぐれ」の表面に乾燥させた”粉末状の乾燥餡”をまぶしましたが、今回は”大麦の粉(麦こがし)”をまぶしています(写真上方の焼き色が濃いもの、下方は何もまぶしていない「黄味しぐれ」)。菓子の指導の「大川功修」さんが、”麦秋”に合わせて考えてくれました。「大川」さんが、”麦こがし(”はったい粉”、”香煎(こうせん)”とも)”を味見させてくれました。昔、食べた味を思い出しました。詳細は、当ブログ「『黄味しぐれ』作り体験」をご覧ください。
 「農家」では”田植え”が終わりました。”コシヒカリ”に”マンゲツモチ”、”正月飾り”に使う”ヤマトニシキ”、それに昔からの品種も植えました(写真:上左)。以前は、”田植え”が終わると、農家では「さなぶり(早苗饗)」を行いました。「さなぶり」の「さ」は豊作をもたらす”田の神様”で、”田植え”が終わったので”神様”を天上に送る(「さ」がのぼる)ということだそうです。そのため、”田植え”が終わると、”荒神様(こうじんさま:火や”カマド”の神様)に”田植え”で残った”苗”などをお供えし、”苗”の生長と豊作を祈りました。今は、”田植え”は機械で行っていますが、それ以前はすべて手で植えていました。”水田”に大勢の人が並んで、腰を曲げて”苗”を植えていきます。しかも、数日かけて行われることもあり大変な重労働でした。ですから、そのお礼を込めて”田植え”を無事に終え神様に感謝するとともに、”田植え”に協力してくれた人たちにも感謝して宴会も行われたのが「さなぶり(早苗饗)」です。お疲れさまでした。「上総の農家」(写真:下右)と「下総の農家」(写真:下左と中)でも、”カマド”の上の”荒神様”に”田植え”の体験者によって”稲の苗”と”ぼた餅”が供えられました。
 「商家の町並み」「木工所」では「下駄の鼻緒すげ」の体験です。指導者は、成田山のお坊さんの履く下駄を作り続けている「岩舘和己」さんです。「岩舘」さんも、お父さんの代から「房総のむら」で指導をしていただいています。”鼻緒”の付けられていない”下駄の台”(写真:上左)に、お好みの”鼻緒”を付けます。「岩舘」さんから”鼻緒”の”紐”の結び方を教えていただいて、いざ体験です。前の”鼻緒”は、”紐”が抜けないように裏に大きな”結び目”を作り、後ろの”鼻緒”は、左右の”紐”をお互いに絡め、そこに”紐”を巻きつけていきます。「岩舘」さんに確認してもらいながらきれいに”紐”が巻けました(写真:中右)。ここまでできたら、”鼻緒”に足を入れて”鼻緒”の具合を確認し、長さを調整します(写真:中左、下左)。余分な”紐”は切り、前の”鼻緒”の結び目には”前金”を付けます。最後に、”台”を磨いて完成です。体験された方は、お祭りだけではなく、玄関に置いておいて”普段履き”にするとか。別な方は、長く愛用してきた”下駄”を持参しており、「岩舘」さんに修理方法も教えていただいていました。この体験者の方々は、普段から”下駄”を履いているんですね。ちなみに、写真の中断の”鼻緒”の文様は、”麻の葉”だそうです。”麻の葉”といわれて、”細かい幾何学文様”を思い浮かべ、”えっ?”と思いましたが、拡大するとこんな”シンプルな文様”にもなるのですね。日本の”伝統文様”をよくご存知のようでした。本人お気に入りの”鼻緒”を選ぶ楽しさもある「下駄の鼻緒すげ」の体験です。
 「商家の町並み」「畳の店」の「畳の敷物作り」の体験です。右手に”手当”をはめ、”ゴザ(茣蓙)針”で”肥後”産の”畳表”を”平刺し”し、”縁”を縫いつけ”花瓶敷”などに使える”畳の敷物”を作ります。ちょっとした”職人気分”を味わうことができますよ。”イグサ(藺草)”を織り上げて作る”畳表”ですが、かっては岡山県(備前)や広島県(備後)が主な生産地でしたが、現在は熊本県(肥後)で9割近くを生産しているそうです。
 ”アジサイ(紫陽花)”の季節です。関東地方も、もうじき”梅雨”に入ると思われますが、雨に似合う”アジサイ”の花が少しづつ増えてきています。館内の園路や「風土記の丘水生植物園」周辺など見所ですが、今年はどうでしょうか。
 ”オカトラノオ(丘虎の尾)”も花が咲きました。昨年は、ブログで6月11日に花が咲いたことをお知らせしましたが、今年は2週間くらい早いです。”花(花穂(かすい))”のようすを”虎の尾”に見立てた名前ですね。徐々に細くなった先端が”ひょいと”上がったあたりが、まさにそんな感じでしょうか。これから、館内のあちこちで”オカトラノオ”の群落が見られます。
 こちらは、「房総のむら」の”ヤマユリ”です。「穀雨 葭始生」に続き、今年2回目の”ヤマユリ”情報です。大きなものは、1m50cm程に伸びたものもあります(写真:左)。よく見ると、先端に小さな”花芽”ができているものもありました(写真:右下)。「房総のむら」の”ヤマユリ”は、毎年7月になる頃に咲き出しますが、今年の開花はいつになりなりますか?
 雨上がりの園路に、”またまた””ノウサギ(野兎)”が現れました。「下総の農家」から「農村歌舞伎舞台」に向かっていると、園路に一匹の”ノウサギ”です。ゆっくり近づきましたが気が付いたようで、「農村歌舞伎舞台」の方に向かって一気に駆け出しました。ところが、そちらから来館者の方が来たので、困ったように立ち止まってしまいました(写真:左)。そのあと、逆戻りして「下総の農家」の方にまた走ってきて、私の前でいったん止まりましたが(写真:右)、すぐに走りだし坂を下りたところで急カーブをして「水車小屋」の方には走り去りました。”ノウサギ”に”遭遇”した方が「人懐こい感じですね」「飼っているんですか」「かわいい」「いいものみた」と。「飼っているわけではないのですが、生息しています。時々見かけます。」(”ウサギ”の種類は違いますが)かわいい”むらのピーターラビット”です。”ブルーの上着”を着せてみたいです。もしかしたら、あなたも会えるかもしれませんよ。

2018年5月26日土曜日

コンニャクの花が咲きそう・・・?です



下総の農家の畑にある「コンニャク芋」の花が今年は開花を迎えるようです。
コンニャク芋の花は約3~4年以上作付けしたものではないと花を咲かせないと言われており、
約5年に一度しか見られない珍しい花です。
房総のむらでは職員でも中々見たことがありません。
コンニャク芋の花が開花すると嫌な臭いがすると言われていますが、どんな臭いがするのでしょうか。
花が無事に咲いたら体感してみます。

中々見ることのできないコンニャク芋の花、
期待をしてもう少し様子を見たいと思います。(は)

房総のむらの花だより

 本日は、資料館を出発し、上総の田んぼ、上総の農家から下総の農家まで足を伸ばし、帰りには武家屋敷に寄って戻りました。


●コナスビは「ナス」とありますがサクラソウ科です。野菜のナスはナス科です。

●ハルジオンは今が花期です。似た花が咲くヒメジョオンは少し遅れて咲き始めます。両者は葉の付け根で見分けることが出来ます。

●ムラサキシキブに沢山のツボミが出来ています。今年は沢山の果実が実るでしょう。

●ネジバナが咲き始めました。

●下総の農家ではハマナスやユスラウメの果実が実りました。

●センダンやヤマボウシの花が盛りです。

●クロバナキハギは、ハギの花の中で早く咲く種類です。
画像「チョウセンハギ」は「クロバナキハギ」に訂正します。

●オカトラノオが上総の林で群生しています。まだツボミですが沢山の花が咲くでしょう。


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◎以上は、むらの自然ガイドボランティアさんからの写真と記録です。5月18日(金)の観察に基づいています。 (風)

2018年5月25日金曜日

小満(二十四節気)紅花栄(七十二候)5月26日~30日 巨大な白い花”タイサンボク”咲く ”職人の技” 木に登る”亀”

 二十四節気の「小満」は、陽気がよくなって、万物が成長する気が長じて、草木枝葉が繁る頃とのこと。そして、七十二候は「紅花栄(べにばなさかう)」です。「上総の農家」の”ベニバナ(紅花)”も大きくなってきましたが、まだ花は咲きませんでした。今年蒔いた”ベニバナ”はまだ小さいのですが、写真は昨年蒔いたものです。かなり大きくなってなってきましたので、”七十二候”に合わせて咲いてくれるかなと思っていたのですが、間に合いませんでした。もう少しなんですが。
 その代わりでしょうか、同じ「上総の農家」の畑のすぐ近くに”ベニバナ”の色に似た色の”キンセンカ(金盞花)”が咲いています。11月中旬の二十四節気「立冬」の七十二候末候に「金盞香(きんせんかさく)」がありますが、その”金盞”は”スイセン(水仙)”とされています。その理由の一つは、”二ホンスイセン”の別名が”金盞銀台(きんさんぎんだい)”だからのようですが、11月には”スイセン”は咲きませんでした。”キンセンカ”は室町時代に渡来したとされるキク科の一年草で、秋の終わりごろから咲き始めるようですが、七十二候の「金盞」は”キンセンカ”なのでしょうか。
 「商家の町並み」「酒・燃料の店」では、「杉玉作り」の体験です。指導は「吉野正美」さんです。店先に吊るされたばかりの”杉玉”は緑色ですが、やがて枯れてくると茶色になってきます。この色の変化が、新酒の熟成具合を示しているとか。「房総のむら」の”杉玉”も半年が過ぎて随分茶色になってきました。さぞかし”お酒”も熟成が進んだことでしょう。この”杉玉”、江戸時代には”酒屋”の看板に使われていたようですが、もともとは”酒の神様”に感謝を捧げるものとの説もあります。”杉玉作り”の体験は、「房総のむら」ではこの時期と年末に行っています。
 「商家の町並み」では、指導者の方々が”職人の技”を披露していました。”木版画”の”摺り”の実演は「松崎啓三郎」さんです。まず、”版木”に”顔料”と”糊”をのせ、”ブラシ”で伸ばします(写真:上左)。浮世絵にみられる”グラデーション”は、この色の置き方で決まります。そして、”見当”に合わせて”紙”をのせたあとの”バレン”使いで決まります(写真:上右)。見ていたら、その”バレン”を”ほっぺ”につけました(写真:上中)。何をしているのかと思ったら、”バレン”に油分を与え滑りをよくするのだそうです。裁縫するときに”針で頭をかく”のと同じようです。”畳の縁”を付けているのは”畳職人”「米井 仁」さんです。”平刺し(ひらざし)”と呼ばれる作業で、糸を通した”畳針”を”畳”の下から刺し”畳”に”縁”を縫っていきます(写真:中左)。そして、畳屋さんといえば、この”ポーズ”でしょう。”肘をこすって糸を締め付け”ていきます(写真:中右)。この作業も機械化されているようで、こんな光景が見られるもの「房総のむら」ならではでないでしょうか。”桶職人”「萩原幹雄」さんは、”桶”の”タガ”にするための”竹”を削っています(写真:下左)。細く割いた”竹”を削っていくのですが、使用する道具は”カーブのついた鉈”のようなものです。”添え木”と一緒に使い、”刃”を一定の角度に保ち”竹”を引っ張りながら(写真:下右)、”竹”を薄くし、”角”の仕上げもこれで行っていました。素人にはできない技です。
 「下総の農家」では「ボッチ笠作り」の実演です。今回は、普通のサイズよりも一回り小さな”ボッチ笠”です。なぜ、小さいのかといいますと、通常のサイズの”ボッチ笠”を作るには2日間かかりますので、体験者が1日でできるサイズとして、小さなサイズの”笠”も作っています。小さいお子さん用にはいいかもしれません。”ボッチ笠”の作り方については、当ブログ「穀雨(二十四節気)霜止出苗(七十二候)」をご覧ください。
 「上総の農家」の”ジャガイモ畑”です(写真:上)。”花”がたくさん咲いてきました。”ジャガイモ”の収穫のタイミングは、”花”が咲き終わり、”葉”や”茎”が黄ばみだした頃だそうです。「房総のむら」では、6月9・10日、15・16日に収穫体験が予定されていますので、お楽しみに!”ジャガイモ”は、”種芋”を半分に切り、干して乾燥させたものを3月に植え付けました(写真:下)。
 「安房の農家」の”タイサンボク(泰山木)”です。大きな”白い花”が咲いています。アメリカが原産で、明治時代に日本に入ってきた”モクレン(木蓮)”や”コブシ(辛夷)”の仲間だそうです。常緑の光沢のある”濃緑色の葉”の上に、”真っ白な大きな花”が印象的です。花は、最大で50cmにもなるそうで、国内の樹木の花としては最も大きいそうです。中央にはたくさんの”雄しべ”と”雌しべ”が集まって、円錐状についています(写真:右)。高いところに咲いていますから、上を見ていないと見逃がしますよ。
 晴れた日に林の中で上を見上げると、緑色の”モミジ(紅葉)”が透けて光っていました(写真:上左)。まだ”実”が残っている枝もありました(写真:上右)。「風土記の丘」の”トウカエデ(唐楓)”は、高いところで分かりにくいのですが”実”がついています(写真:中)。名前のとおり、中国原産だそうです。開き切らない小さながたくさん咲いているのは、”ゴンズイ(権萃)”です(写真:下)。”ゴンズイ”は、”薪”以外に使い道がなく役に立たないことから、何の役にも立たない魚の”ゴンズイ”の名前が付いたとされる説もあります。秋には”赤い実”になります。
 最近の”花”たちです。「武家屋敷」前の”クロバナキハギ(黒花木萩)”です(写真:上)。”ハギ”というと”秋の七草”の一つかと思いますが、今頃も咲くのですね。花の色が濃く、葉が”キハギ”に似ていることからの名前だそうです。「上総の農家」の”ムシトリナデシコ(虫取り撫子)”(写真:中)です。茎上部の葉の下からでる粘液に虫が付着することが名前の由来だそうです。こちらは、ヨーロッパ原産だそうです。”ムラサキツユクサ(紫露草)”です(写真:下)。”ムラサキツユクサ”の和名が付いていますが、アメリカ大陸原産だそうです。葯(やく)の基部からたくさんの”毛”がでています。午後には、花がしぼむ1日花ですが、次から次からよく咲きます。
 最近出会えた”蝶”です。こちらも外来種の”ハルジオン(春紫苑)”で、蜜を吸っている羽根がかなり傷んだ”アオスジアゲハ(青条揚羽)”です(写真:上左)。ピンクの小さな花”オキザリス”にいるのは”ナミアゲハ(並揚羽)”です(写真:上中)。”キショウブ(黄菖蒲)”には”ツマグロヒョウモン(褄黒豹紋)”です(写真:上右)。”シロツメグサ(白爪草)”で蜜を吸っているのは”モンシロチョウ(紋白蝶)”ですね(写真:中左)。林の中の”ガマズミ(莢蒾”には木漏れ日が差し込み”羽”が透けた”ヒメウラナミジャノメ(姫裏並蛇目)”がいました(写真:中中央)。葉の上で羽を大きく広げているのは”イチモンジチョウ(一文字蝶)”です(写真:中右)。”ドクダミ”の葉の上には”アカシジミ(赤小灰蝶)”です(写真:下左)。近くには”ウラナミアカシジミ(裏波赤小灰蝶)”もいました(写真:下中)。そして番外編ですが近くの「坂田ヶ池」で見た木に登る”クサガメ(草亀)”です(写真:下右)。
 ”トンボ(蜻蛉)”もかなり飛び回っていますが、標本箱に入っているのは、”オニヤンマ(鬼蜻蜒)”と”ギンヤンマ(銀蜻蜒)”です。といっても、これは”職人の技”の続きで、「房総のむら」の「鍛冶屋」で体験の指導もしていただいている「北島和男」さん(写真:右)が”鉄”で作った(羽根の透明な部分を除く)”トンボ”です。”鋏”の楕円形の握りの部分まで全て手造りする、「総火造り」ができる職人だからできる”仕事”です。「北島」さんは、「鍛冶屋」の指導の際にこのような、ご自分で作られた作品を展示してくれています。いかがですか、この”トンボ”が鉄でできているように見えますか。今にも、軽やかに飛び出しそうです。本当にすごい”職人の技”です。
 新緑に包まれ、さわやかな青空が似合う重要文化財「学習院初等科正堂」では、6月2日に「吉川久子」さんの「愛のフルートコンサート」が開かれます。「吉川」さんは、この建物でこれまで5回の演奏会を開き、「房総のむら」をイメージした子守唄「房のささやき」も作曲しています。今回も、あの”透き通ったフルートの音色”をお楽しみください。

2018年5月22日火曜日

はじめて陸上へ上がる


この前、5月11日に、両生類は初めて陸上に上がった脊椎動物ということを書きました

あれから10日ほどたち、水田をのぞいてみると

足が出始めたオタマジャクシが泳いでいます

まだ、尻尾が残っていて、水中でしか生きられないエラ呼吸の状態です

この短い期間に足ができてくるのは、生命の驚異ですね

ところが、灯台下暗し

足元を観察すると、尻尾がなくなり、緑色になった小さなカエル

こうなると、エラ呼吸ではなく、肺呼吸をしています

立派に成長した姿に、他人のことながら感激です(や)

2018年5月20日日曜日

「黄味しぐれ」作り体験

 

5月19日、20日の2日間にかけて、年に1度の「黄味しぐれ」作りの体験をおこないました。



「黄味しぐれ」とは割れた表面が特徴的な、卵の味と香りが楽しめる和菓子です。中には黒あんが入っており、表面は白あんに卵を練り込んだものです。

 
 
和菓子は、桜餅や羊羹のように、その季節に合わせて食べられることが多いですが、「黄味しぐれ」に季節はありません。反対に、季節がないからこそ、四季に合わせて姿を変えることが出来るのです。

基本の形は写真右の白い黄味しぐれです。左の茶色い黄味しぐれは表面に「香煎(こうせん)」という麦の粉をまぶしています。初夏におこなわれる、麦を刈り取る「麦秋(ばくしゅう)」に合わせて作られました。


また、白あん部分を黄色と緑に着色することで、春らしい「菜の花」に見立てることができます。
さらに、赤やオレンジ色などの色素を使い秋の紅葉、
冷凍したお餅を砕いて上にパラパラとかけると「初霜」になります。


今回、「黄味しぐれ」作り体験の講師として、ブログでも頻繁に登場していただいている、匝瑳市「鶴泉堂」の大川功修先生にご指導いただきました。大川先生は、冗談を交えながら、参加された方の質問に気さくに答えてくださいます。

先生曰く、黄味しぐれが季節に合わせて装いを変えることから、「季節を食べる」と表現されました。季節に合ったものを口にするのは日本の食文化の根幹だと仰っていました。


体験では白あんに黒あんを包む繊細な作業を行います。参加された方々は、緊張しながらもコツを掴みながら楽しく体験されていました。
































また、来月の6月22日(金)、23日(土)には「水羊羹」作りの体験をおこないます。

時間:10:00~12:00、13:30~15:30 
体験費:750円
小学生は引率者の補助が必要です。

現在、予約受付中です。ぜひ、季節を食べに参加してみてください。(細)




好評!畳の店・畳作り(実演)


5月19日(土)に商家・畳の店では講師の先生をお招きして,畳作りの実演を行いました。
講師は印西市,米井仁(こめい・じん)先生です。

今回は総屋二階の畳の表替え(おもてがえ)を行いました。
表替えとは,土台はそのままで,今現在ついている畳表を新しい物に張り替える作業のことをいいます。
講師の先生の手早く正確に縫い上げる技術は,必見です!

本日5月20日(日)にも,畳の店の店先において畳作りの実演をご覧いただけます(1回目は午前10時から,2回目は午後1時30分から)。
ぜひこの機会に職人の技をご覧ください。(前)

小満(二十四節気)蚕起食桑(七十二候)5月21日~25日 ”めだかの学校”に”昆虫酒場” ”田植え” 再びの「縄文かご」 ”アジサイ”咲く

 二十四節気は「立夏」から「小満」に移り、 七十二候は「蚕起食桑(かいこおきてくわをはむ)」ですが、「房総のむら」では”蚕”は飼育していませんので、状況を説明することはできません。悪しからず。「上総の農家」と「風土記の丘資料館」の間の池には、”スイレン(睡蓮)”が咲いています(写真:上右)が、水面に拡がった葉の間には”メダカ(目高)”が”群れ”をなして泳いでいます(写真:上左)。まるで”めだかの学校”です。1本の木の周りをたくさんの”チョウ”が飛んでいましたので見ていると、”クヌギ”の木の一角に”チョウ”が集まって蜜を吸っていました。昆虫談話会さんのお話では、こういうのを”昆虫酒場”というのだそうです。おもしろい呼び方ですね。樹皮が発酵して”アルコール”の匂いを発散すると、昆虫が”フラフラ”と集まってくるのだそうです。”チョウ”は、たくさんいるのが”サトキマダラヒカゲ”で、白っぽいのが”アカボシゴマダラ”です。ちなみに、この”アカボシゴマダラ”は、中国産だそうで2年前に初めて「房総のむら」で確認されたそうです。今年の4月には「特定外来生物」に指定され、駆除が推奨されているそうです。捕まえるべきであったか。残念。
 ”田植え”の準備も整った”水田”に、”ウジャウジャ”いる”オタマジャクシ”です”(写真:左)。ここ数日で、変化が出てきました。足が出て(写真:中)、手も出てきました(写真:右)。それに伴って、まん丸だった体も目の上が飛び出し、背中も角ばり、尾も短くなってきました。体の色もはっきりしてきて、”イボガエル”(写真:中)と”二ホンアマガエル”(写真:右)のようです。
 そんな”水田”で、”田植え”が始まりました。15cm程に育った”コシヒカリ”(写真:上左)の”苗”を2、3本づつ植えました(写真:下右)。初めは2、3本でも、これから成長していくと”分けつ”して、”稲刈り”の時には一握り2、30本ほどになります。これまで稲の苗の生育を祈る「水口まつり」を行い(写真:上右)、田植えが無事できることを祈り「人形送り」もしてきました。これからは、この”苗”が順調に育って”豊作”になることを祈るのみです。来週には「下総の農家」では「団体米作り」体験で”田植え”が行われ、「上総の農家」でも”田植え”の体験と、その後に”田植えのねぎらい”と”豊作祈願”を兼ねて「さなぶり」の実演・展示も行われます。
 「商家の町並み」「お茶の店」の「抹茶作り」の体験です。”抹茶(まっちゃ)”の原料となる”碾茶(てんちゃ)”(写真:左)は、4月下旬に”お茶の葉”の上に”よしず”の覆いをかけて、日光を遮って育てます。10日ほどたったら、”よしず”の上に”藁”を拡げ、太陽の光を浴びない状態でさらに10日間育てます。”お茶の葉”は太陽の光を求め薄く広がり、色も鮮やかな濃い緑色になるそうです。摘まれた”茶葉”は、蒸した後に揉まずに平らな葉のまま乾燥させ、粗く砕くと”碾茶”になります。この”碾茶”を”茶臼”で挽く(写真:中)と淡緑色も鮮やかな粉末の”抹茶”の完成です(写真:右)。あとは、”抹茶を点(た)て”て飲むだけです。飲むだけではなく、ケーキやお菓子作りにも利用できますね。
 前回に続いての「風土記の丘」の「縄文かご」作りの紹介すです。「藤ヶ﨑たつ子」さん(写真:下左)と「北﨑みち子」さんの指導で続けてきた「縄文かご」作りです。材料の「おおつづらふじ」の”蔓”は、先生方が山から取ってくるそうですが、とても大変だそうです。指導者の先生が作られた作品がありましたので、写真を撮らせていただきました。どれも素敵な作品です。体験者の皆さんも、完成した作品に満足のようです。最後は、指導者の先生(写真:下右、前列中央)を囲んで記念撮影をしました。
 ”アジサイ(紫陽花)”の季節がきたようです。「武家屋敷」裏の園路(写真:中)や「上総の農家」(写真:下左)の”アジサイ”が咲き始めました。「武家屋敷」では、”シモツケ(下野)”の花も開き始め(写真:上)、そして「上総の農家」では、”ホオズキ(鬼灯)”の白い花も咲き始めました(写真:下右)。
 「上総の農家」の”そば”も大きくなってきました。菜の花に続いて、”茅葺屋根”に合う白い花です。
 「むら」の”畑”の作物も元気に育っています。”イモの苗床”では、”サツマイモ(薩摩芋)”の”苗”がはみ出しそうになってきました(写真:上左)。”ジャガイモ(馬鈴薯)”も花が咲き始めました(写真:上右)。6月になれば、”ジャガイモ”の収穫体験になります。”キヌサヤ(絹莢)”(写真:中左)や”ソラマメ(空豆)”(写真:中右)も大きくなっています。”キヌサヤ”は既に新鮮野菜として収穫・販売も行なっています。「上総の農家」の畑の周りには”お茶の木”が植えられていますが、「下総・安房の農家」の畑では、”ハクチョウゲ(白丁花)”です。小さな白い花が咲き始めました(写真:下)。
 ここからは”実”です。といいながら、一枚目は”柿(カキ)”の花です。たくさんの花が葉の下についています(写真:上左)。昨年は”柿”が豊作でしたが、今年はどうでしょうか。”栗(クリ)”は、長い”雄花”の根元にあった”雌花”が受粉し”栗の赤ちゃん”ができています(写真:上右)。不思議な格好の実は、「上総の農家」の”ソシンロウバイ(素心蝋梅)”の実です(写真:中左)。”ビワ(枇杷)”も大きくなってきました(写真:中右)。きれいな花を楽しませてくれた”ハナモモ(花桃)”(写真:下左)と、”ヤマモモ(山桃)”の実です(写真:下右)。
 ”梅”も大きくなってきました。それに伴って、”落下する梅”も増えてきました。「上総の農家」では6月2・3日に”梅もぎ”の収穫体験がありますが、それまでもつのでしょうか、心配です(写真:上)。赤い実は、「下総の農家」の”ユスラウメ(梅桃)”の実です(写真:下)。こちらは小さな実ですが、やはりたくさんの実をつけています。初めは緑色だった実も、日ごとに赤みが増してきました。
 今、「房総のむら」で見られる木に付いた”赤い実”の続きです。まずは”グミ(茱萸)”です(写真:上)。まだまだ青い実が多いですが、熟すと赤い実になります。”グミ”よりひとまわり小さい”ウグイスカグラ(鶯神楽)”です(写真:中)。二つの”実”とも透明感があり”陽”が当たると透けて見えるのですが、”実”が葉の裏にあるので、なかなか難しいです。そして、”サクランボ”です(写真:下)。でも、お店で売っている”さくらんぼ”のように大きくはなりません。”さくらんぼ”が採れる木と観賞用の桜の木は違うのですね。
 色は少し変わってきますが、現在は”赤い実”の”ヤマグワ(山桑)”です(写真:上)。これから熟していくと、黒っぽくなっていきます。最後は、みかん色の”キイチゴ(木苺)”(写真:下)です。よく”キイチゴ”と呼びますが、正式には葉の形から”モミジイチゴ(紅葉苺)”だそうです。草花の情報は、ブログの「房総のむら花だより」もご覧ください。
こちらは、「風土記の丘資料館」横の国史跡「龍角寺古墳群・岩屋古墳」の「龍角寺78号墳」です。直径35m、高さ4.5mの”円墳”で、”古墳群”の中では最も大きな”円墳”ですが、この時期になると”古墳”全体が”ワラビ(蕨)”に被われます。「78号墳」改め”わらび塚古墳”とでも呼びましょうか?

2018年5月19日土曜日

梅雨の予告


五月も下旬となりました

関東地方の平年の梅雨入りは6月8日とのこと


着々と梅雨に向けて生き物たちも準備が進んでいます

館内のアジサイも、武家屋敷の裏は日陰となり、開花時期が遅いのですが、

日のあたる場所では、つぼみが大きくなってきました



また、少し雨が降ると、きのこも出てきます



種名の同定まではできませんが、ニガクリタケに似たきのこ

房総のむらの雨の日ならではの楽しみ方を見つけるのも

おもしろいと思います(や)

2018年5月18日金曜日

房総のむらの花だより

 本日は、資料館を出発し、上総の田んぼ、竹林の坂、上総の農家から武家屋敷を回って戻りました。

●樹木の花が沢山観察できます。エゴノキ、ガマズミ、ユリノキは満開。センダン、イボタノキは咲き始めたばかりです。
●樹木の果実も実っています。上総の田んぼの周りでは、ヤマザクラ、ニガキ、ウワミズザクラが高い所で、ヤマグワ、モミジイチゴ、ウグイスカグラ、ソシンロウバイは目の前の所で見ることが出来ます。
●武家屋敷のケヤキの枝の先端の小さな果実が、枝先の葉と一緒に風に飛ばされ落ちていました。ケヤキの果実はこうして運ばれます。
●ウワミズザクラの根元には、枝から真下に落ちた果実が実生(みしょう)として沢山生えています。草刈があるため大きく生長することはほとんどないでしょう。
●上総の農家のサカキはまだツボミです。花が咲くとほのかな甘い香りがするそうで、期待しましょう。
●センボンヤリの花がまだ咲いていました。近くには冠毛が付いたものもありました。

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◎以上は、むらの自然ガイドボランティアさんからの写真と記録です。5月11日(金)の観察に基づいています。 (風) 




※自然観察会のお知らせ 
 自然ガイドボランティアでは、月に一回、土日のいずれかを利用して来館者を対象とした「自然観察会」を開催しています。
 5月は下記の予定で行いますので、興味のある方是非ご参加下さい。
○日時 : 5月20日(日)午後1時30分から1時間程度(雨天中止)
○集合場所 : 総屋前 
○今月のテーマ : 「日本茶」
○参加費 : 無料(むらの入場券必要)